
全般性不安障害
全般性不安障害
日常生活の中で誰もが感じる「不安」という感情が過度になり、生活に支障をきたす疾患です。不安は私たちの身を守るための警報装置のような役割を果たし、危険や緊張に備えたり、避けたりする際に必要不可欠な感情です。しかし不安障害ではこの感情が過剰に高まったり持続したりすることによって、実際には危険でない状況にまで不安や恐怖を感じるようになります。
不安を感じる対象や状況を過剰に避けるようになり、生活の幅が狭まってしまうことも特徴のひとつです。もし不安や心配が日常のあらゆる場面に影響を与え、行動や思考を制限していると感じたら一人で抱えずに医療機関に相談することが大切です。
不安障害の症状は多岐にわたり、精神的な症状と身体的な症状の両方がみられます。精神的には強い恐怖感や心配、不安が持続し、それに伴って注意力や集中力が低下することがあります。身体的には、動悸、発汗、息苦しさ、手足の震え、めまい、吐き気などが現れることもあり、これらの症状が繰り返し起こることで日常生活に著しい支障をきたします。
不安障害の診断は、医師による問診と精神状態の観察が基本となります。問診では、いつからどのような不安が続いているか、生活への影響や対人関係、仕事や学業の支障について詳しく確認します。またストレスの原因や過去の精神的・身体的な病歴についても丁寧に聞き取ります。さらに不安に関連する思考パターンや行動の特徴なども評価します。必要に応じて、うつ病や他の精神疾患との鑑別のために心理検査(質問票や面接式の検査)を行うケースもあります。身体的な疾患の影響を除外する目的で、血液検査やホルモン検査、脳の画像検査(MRIやCT)などを実施する場合もあります。
不安障害の治療では、薬による症状の軽減と、心理的な支援による心の整理や対処方法の習得を組み合わせることが効果的とされています。
抗うつ薬(SSRIなど)、抗不安薬が主に用いられます。これらの薬は脳内の神経伝達物質のバランスを整える働きがあり、過剰な不安や恐怖を和らげる効果があります。症状に応じて薬の種類や量を調整しながら、医師の指導のもとで継続的に服用します。
認知行動療法(CBT)が代表的で、不安を引き起こす思考パターンや行動を見直し、現実的で前向きな捉え方へと修正する手法です。またリラクゼーショントレーニングなども併用されることがあります。
全般性不安障害は決して珍しい病気ではなく、現代社会において多くの方が悩まされている精神的な問題のひとつです。性格のせいや気の持ちようと誤解されやすいですが、適切な診断と治療を受けることで症状は改善し、再び充実した日常生活を送ることが可能です。
当院では、患者様の不安の背景にある要因を丁寧に見極めながら、薬物療法と心理療法を組み合わせた多角的な治療を行っています。ひとりで悩まず、どうぞ安心してご相談ください。
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