
不眠症
不眠症
不眠症とは入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒などの睡眠の問題があり、そのために日中の倦怠感、集中力低下、食欲低下、気分変調などが生じる状態です。
不眠は誰でも経験しましが、自然と改善することがほとんどです。しかし慢性的な不眠症に陥ると適切な治療なしでは回復しにくいといわれています。
睡眠障害の治療では、生活習慣や睡眠環境を整えることが大切です。起床・就寝時刻を一定にして生活リズムを整えます。日中は適度に活動的に過ごし、寝る前のカフェイン、喫煙、アルコールは控えます。ぬるめのお風呂で身体を温めることも効果的です。就寝する部屋は快適な温度と湿度を保ち、できるだけ外の音は遮断して照明も適度に暗くしましょう。
生活習慣や環境を整えても改善しない場合には睡眠薬などの薬物治療が検討されます。
強いストレスを感じる出来事に遭遇すると、多くの人が数日から数週間続く一時的な不眠を経験します。そのうち、一部の人では不眠が1か月以上にわたり持続します。不眠が週3日以上、3か月以上持続する場合、治療が必要な不眠症の可能性があります。不眠症は単独で生じる場合もあれば、精神疾患や身体疾患に伴い生じる場合もあります。
ストレスが続く場合や、不適切な睡眠衛生・習慣があると慢性化します。眠れないこと自体への恐怖心から、眠ろうと努力すればするほど不眠はかえって悪化する傾向があります。
さらに、不眠の慢性化には以下の不適切な睡眠衛生・習慣が関与すると考えられています。これらを早めに修正することが不眠の慢性化を防ぐコツです。
寝る前のカフェイン(緑茶、紅茶、コーヒー)・ニコチン(タバコ)の摂取、寝酒。
寝不足を取り戻そうとして普段より長く寝床に居続けることで、かえって寝つきが悪化し眠りが浅くなります。
不眠が続くと日中に動くのが億劫になりがちですが、日中の活動量が減ると寝つきが悪くなり眠りも浅くなります。
実際の睡眠時間と自覚的な睡眠時間が一致しないことがあります。睡眠日誌をつけることで睡眠状況を正確に把握したり、自覚していなかった睡眠の特徴を発見したりすることができます。
不眠の原因は人それぞれ異なりますが、大きく分けると「心理的要因」「生活習慣」「身体的要因」「環境的要因」の4つが代表的です。
ストレスや不安、抑うつ状態など心の状態は睡眠に大きく影響します。仕事や人間関係、将来への不安などが続くと、寝つきが悪くなったり夜中に目が覚めやすくなったりすることがあります。
→リラクゼーションやカウンセリングが有効です。
就寝前のスマートフォンやパソコンの使用、カフェインやアルコールの摂取、不規則な生活リズムは睡眠を妨げる要因になります。
→生活習慣の見直しが改善につながることがあります。
慢性の痛み、呼吸器や内分泌の疾患、更年期障害なども不眠の原因となります。また加齢による自然な睡眠の変化も関係します。
→必要に応じて医師の診察を受けることが大切です。
騒音、寝具の不適合、室温や湿度の不快さなど、環境的な要因も睡眠の質に影響します。
→静かで快適な寝室づくりが重要です。
まずその原因を明らかにし、それに応じた対応が行われます。薬物療法だけに頼るのではなく、生活習慣の見直しやより良い睡眠環境を整えるための「睡眠衛生指導」も重要な要素です。
以下に厚生労働省が示す「睡眠障害対処12の指針」をご紹介いたします。どのタイプの不眠にも共通して有効とされている対処法ですので、日常生活の中でぜひ意識してみてください。
(厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費 睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班、平成13年度研究報告書より)
私たちの身体には、約24時間の「体内時計」があり、睡眠と覚醒のリズムを整えています。このリズムが崩れると、深夜にならないと眠れない・早朝に目が覚める・勤務シフトに対応できないといった問題が生じ、日常生活に支障をきたします。若年層に多い「睡眠・覚醒相後退障害」や、高齢者にみられる「前進障害」、交代勤務者に多い「交代勤務障害」などがあります。
睡眠中に繰り返し呼吸が止まる、もしくは浅くなることで、いびきや日中の強い眠気、集中力低下などを引き起こします。肥満や加齢が主な原因とされ、重症例では高血圧や心疾患のリスクも高まるため、早期診断と治療が重要です。
睡眠中に異常行動や体験が生じる症状です。深い眠りの段階では、「夜驚症」「夢遊病」「睡眠関連摂食障害」などが起こりやすく、夢を見ている段階では「悪夢障害」や「レム睡眠行動障害」がみられます。特に後者は、叫び声や暴力的な行動で怪我をすることもあり、加齢や神経疾患との関連もあります。
眠っている間や入眠前に、足の不快感(むずむず脚症候群)や、足が勝手にピクピク動く(周期性四肢運動障害)などの運動が起き、眠りを妨げます。入眠困難や夜中の覚醒、日中の眠気につながるため、症状に気づいたら専門的な診断が必要です。
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